高血圧の食事療法でよく強調されるのが塩分の摂りすぎです。塩分の主成分であるナトリウムはなぜ高血圧に良くないのでしょうか。
人間の細胞の中には多量のカリウムが含まれており、細胞の外にはナトリウムが存在します。そして塩分の摂取量が多いと、過剰な塩分のナトリウムが細胞の中に入ってきます。
細胞内にナトリウムが過剰にある状態は良くないので、細胞内のナトリウムと細胞外のカリウムを交換するナトリウムポンプという働きが作動します。
高血圧ではない正常血圧の人ならナトリウムポンプで細胞外へ排出されたナトリウムは腎臓を通じて排出されます。しかし、高血圧の人ではナトリウムポンプの働きが悪く、ナトリウムを体外へ排出しにくいという問題があります。
高血圧の人がナトリウムを排出できない状態は体に良くないので、ナトリウム利尿ペプチドというホルモンが分泌されます。このナトリウム利尿ペプチドは腎臓でナトリウムが再び吸収されるのを妨げ、腎臓からナトリウムが排出されるのを促進する働きがあります。
ナトリウム利尿ペプチドにはナトリウムポンプの機能が停止させる働きもあるので、細胞内のナトリウムを細胞外のナトリウムと交換することができないという問題が発生します。
この問題を解決しようとして、細胞内のナトリウムが細胞外のカルシウムと入れ替わるという反応が発生します。
この反応が起こると、細胞内にカリウムではなく、カルシウムが入ってくることになり、血管を収縮させることになります。
血管が収縮すると、血管を流れる血液が流れにくくなり、血管抵抗が増えて血圧を上昇させることになるのです。このような血圧上昇のメカニズムに注意して塩分の摂りすぎに注意しましょう。