高血圧症の人がトイレで倒れるケースもめずらしくありません。
原因はいろいろありますが、特に大きいのが寒暖の差です。
寒い冬の明け方近くの時間帯は、家の中が冷え切っています。そんな時トイレに行くと、寝床で温まっていた体が急に寒さにさらされ、血圧が上昇し脳卒中などを引き起こしてしまうわけです。
血圧は一般に寝ている夜間に低くなり、目が覚める明け方にかけて上昇し、活動的な昼間に最も高くなります。しかし人によっては、朝だけ特に血圧が上昇する場合があります。これを早朝高血圧症といいます。
いずれにせよ、明け方目を覚ましてから二、三時間は、脳卒中や心筋梗塞などの危険な発作が起こりやすいので、十分な注意を必要とします。
高血圧症の人のトイレでの事故を予防するには、寒暖の差を防ぐために体から寒さを守ることです。
寝床から出るときは、面倒でも必ずガウンなど一枚羽織る習慣をつけましょう。
便座が保温できるものを利用したり、トイレに簡単な操作で作動する電気ストーブなどを設置するのもいいと思います。
高血圧症の人がトレでの事故を引き起こすもうひとつの大きな原因は、排便時にいきむことです。
いきみはじめに血圧が上がり、意外なことに排便時に息をこらえて強くいきみ続けると、血圧が一時的に急降下することがわかっています。そして排便が終わって、いきみをやめほっと一息つくと、直後にまた血圧が急上昇するのです。
排便時には気がつかないうちに、血圧や心拍数が激しく変動しています。これが心臓や体などに大きな負担となり、心筋梗塞や脳卒中の発作の引き金になるのです。
トイレでの強いいきみをやめるには、便秘は大敵です。
便秘解消には、野菜・海藻類などの食物繊維の多い食品をとる。定期的な排便習慣をつけるなどの生活習慣の改善が必要となってきます。起きた時に、コップ一杯の水や牛乳を飲むのも効果があります。
小便でも特に男性の場合は、事故に注意が必要な時があります。排尿中に生じる徐脈と低血圧状態で、主にアルコール常用者の方に生じます。
たまった尿を急に出してしまうと、急激に膀胱が縮まり、副交感神経反射というのが生じて、著しい徐脈と低血圧が起こり失神してしまうのです。
このときに失神によって転倒事故が起こるのです。アルコール好きな方で、中年から高齢の方は注意してください。