腎性高血圧の治療

腎性高血圧腎血管性高血圧の治療法はつぎのとおりです。

腎性高血圧 

治療は、腎硬化症の場合と同じく、減塩療法が中心です。また減量、禁煙につとめます。

 減塩療法は、軽度から中等度の障害では、1日6g以下(食品添加や調味料としての食塩)の食塩摂取に抑えます。血清カリウムが高値であれば、カリウムの摂取を抑えます。
 高度の腎障害(尿毒症)では、たんぱく質の摂取も制限します。高血圧だけでなく腎炎や糖尿病によっておこる腎障害も、低たんぱく食(1日に体重1kgあたり0.6~0.8g)で進行を抑えることができます。

 降圧薬の服用も、腎硬化症の場合とほぼ同じです。腎臓の機能や血流量を保つために、高血圧の治療を早くから行ないます。ただし、急激かつ過度に血圧を下げると、一時的に腎臓の機能が低下するので、徐々に血圧を下げるのがふつうです。

 慢性腎不全の場合は、血圧の目標値は130/80~85mmHgです。血圧を正常あるいはそれ以下に維持すれば、腎障害の進行が抑えられます。

 アンギオテンシン変換酵素阻害薬やカルシウム拮抗薬は、長く服用すれば腎機能の低下を予防することができます。そのほか、利尿薬や交感神経遮断薬(α、β)が使われます。


 腎血管性高血圧 

腎動脈の病変部分が短くて、主幹だけにとどまっている場合には、経皮的血管形成術(皮膚から血管内に管を挿入し、狭くなった血管を、管の先についた小さな風船をふくらませて広げる)を行ないます。

 この方法では治療がむずかしいか、再発をくり返すような場合、または病変部が長かったり、枝分かれした腎動脈の先にまで病変がおよんでいる場合には、開腹して血行を確保する手術が必要となります。
 具体的には、腎動脈の病変部を除去して、正常な部分をつなぎ合わせたり(必要なら腎臓を腎動脈ごと体外にとりだし、氷で冷やしながら手術する)、あるいは腎動脈のかわりに別の動脈に腎臓をつなぎます(自家腎移植)。

 そのほか、萎縮して機能を失った腎臓を摘出することで、その腎臓からのレニンの分泌を抑えて、血圧を正常に保つ方法もあります。

 以上の方法で、完全に血圧をコントロールできなければ、薬物療法を行ないます。通常は、まずアンギオテンシン変換酵素阻害薬が使われます。


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