腎性高血圧の原因

①腎実質の病変
 各種の腎炎、慢性の腎盂腎炎、各種の代謝性の病気(糖尿病性腎症、膠原病や痛風)にともなう腎臓病や水腎症などがある場合、あるいは先天的な発育不全がある場合などでは、結果として、腎臓内の種々の大きさの血管が障害され、腎臓の血流が悪くなります。

 そのため、レニン‐アンギオテンシン系の内分泌などがはたらいて、血圧が上昇します。血圧が上がると、狭い血管でも多くの血液が流れるので、腎臓はある程度機能します。

 しかし、高血圧が原因で、血管がさらに障害されると、また血流が弱まり、それを補うために、さらに血圧が上がるということになります。


②腎動脈の病変
 腎臓に入る動脈(腎動脈)が狭くなる原因は、おもに動脈の粥状硬化と線維筋性過形成の2つに分けられます。そのほか、大動脈炎症候群や解離性大動脈瘤なども原因になります。

 血液中の成分が血管の内壁に付着しておこる粥状硬化は、腎血管性高血圧症の約60%を占めます。一般に高齢者に多く、腎動脈の中枢より病変が始まり、末梢側に広がります。

 血管の組織が弾力性を失って硬くなる線維筋性過形成は、さらに数種類のタイプに分類されますが、子どもや若い人に多く、一般に進行性です。

 病変は、腎動脈にだけみられる場合もありますが、ほかの動脈にも同様な病変がおこる病気もあります。


③腎臓周囲の病気
 腎周囲炎、腎周囲の血腫などが腎実質や動脈を圧迫することで、①や②と同じメカニズムで高血圧をおこします。



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