高血圧の合併症 心臓病

高血圧の合併症として、心臓病が挙げられます。心臓病といってもいくつか種類がありますので、どんな合併症が現れるのか紹介していきましょう。心臓は最も命に関わる重大な機関ですので、早急な治療が望まれるでしょう。血圧が高くなると、それだけ心臓も多く働かなくてはいけないので、様々な合併症が出てくるのです。高血圧による心疾患は、高血圧ではない人に比べてリスクが3倍高くなると言われています。しっかりと治療しなければ取り返しのつかないことになりかねません。


   心肥大
生きている限り、私たちの心臓は絶え間なく動き続けています。心臓を動かしているのは心筋という筋肉です。高血圧ということは、強い力で心筋が全身に血液を送り出しているということで、次第に、血液を送り出している左心室の壁が肥大してきます。鍛えられた筋肉が厚くなるのと同じことです。これが心肥大です。

足や腕の筋肉と違い、心臓がこの状態でいると徐々に心筋が疲労して、やがて心臓のポンプ運動が低下して心不全におちいってしまいます。血液を送り出す機能が低下するために、心臓にそのまま血液がたまったままになってしまったり、肺水腫という、肺が水ぶくれした状態になってしまいます。こうなると、呼吸困難、動悸、息切れなどが現れるようになります。

特に、呼吸困難は睡眠時に起こりやすく、命に関わるものになります。これが心肥大の恐ろしいところです。検査は超音波検査で心筋の厚さを調べるとすぐに分かり、血圧降下剤で心臓にかかる負担を軽くしてあげなければいけません。

   狭心症
絶え間なく動き続ける心筋は、動くために大量の血液を必要とします。この心筋に血液を運ぶのが冠動脈です。高血圧は動脈硬化が起こりやすいことで知られていますが、冠動脈に動脈硬化が起こると、血管の内部が狭くなり、血管が収縮すると心臓は血流が途切れてしまうので動けなくなってしまいます。心臓へ血液が一時的に流れなくなることを狭心症というのです。

狭心症の症状は、突然の発作に襲われ、胸が圧迫されるような苦しさが、胸全体や左胸に起こります。発作が起こったら、冠動脈を拡張させなければいけませんので、ニトログリセリンなどを舌下から吸収しなければいけません。発作の予防する薬もありますので、医師の指示に従って服用するようにしましょう。食事の見直し、生活習慣の改善も絶対的に必要になってきます。

   心筋梗塞
先に紹介した狭心症は、冠動脈の血液が一時的に心臓に流れなくなるものですが、この心筋梗塞は、冠動脈の狭くなった部分に血栓がつまり、長い時間血流が途絶えてしまうことで、その先の心筋の組織や細胞が死んでしまう病気です。呼吸困難や胸の痛みの発作も長時間続くのですが、狭心症のようにニトログリセリンなどは全く効果がありません。

重篤で命に関わりますので、一刻も早く救急車を呼び、集中治療室(ICU)や冠状動脈疾患集中治療室(CCU)のある医療機関へ搬送しなければいけません。治療を行って自宅に戻れたとしても、予後も薬物治療で再発を防がなければいけませんし、狭心症の場合以上に、細心の注意を払って食事療法や生活改善をしなければいけません。

   心臓病の危険因子
近年の高血圧治療の普及によって、脳疾患の合併症は少なくなってきているにも関わらず、心疾患は増加の傾向にあります。高血圧の合併症である心疾患は、生活習慣病と言われる糖尿病、肥満、高脂血症なども大きく関わっています。それぞれが軽い症状であっても、同時に発症すると心疾患が発生する率が上がってしまいます。生活習慣を見直しましょうと口酸っぱく言うのには、こういう訳があるからなのです。どれもが軽い症状だからと油断しないようにしましょう。